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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-44


「障壁を取り除くということは。

繋がりを生むと同時に。

守りを失うということ。」

(葵の、柔らかになびく、美しい薄紫色のソバージュの髪が、
異空間の壁に、輝いた。)

「所詮、俺たちは。

結界の内に住む人々にはなれず。」

「異空間の中で、

人知れず戦い、生涯を終えるだけ。」

(光は、葵を、壁際に追い。
敵の殺気漂う、もろく輝く。 異空間の壁を背に。
息の掛かる距離で。
葵を見つめた。)

(光の、美しく、光を集める薄黄色の髪先が。
葵の頬に触れる。)

「俺たちが、愛し合うことも。

知られることはない。」

(黄色に輝く瞳が。 葵の、薄紫の瞳を映し。
光の豊かな胸が。 葵の肌に触れた。)

「くすくすっ。

悪くないでしょう?」



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