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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-45


(葵が、背の高い光を見上げ、微笑むと。
光は、黄色の瞳を輝かせ。 笑った。)

「悪くない。」

(光は、柔らかな葵の髪に触れ。
強い殺気を浴びる、異空間の中で。
二人は口づけた。)

***

「ママ〜っ。 お兄ちゃん寝てる〜。」

(小さな少女が、遊園地前のベンチ、
木陰の下で眠る人影を指さした。)

「こらっ、し〜っ。」

「行くわよ。」

(母親は、少女を呼び寄せた。)

「ふふっ。 お兄ちゃん、葉っぱついてるよ。」

(少女は、去り際。
ベンチで眠る男性の、白い髪についた、
緑の葉を。 指先でつまみ、微笑んだ。)

(駆けてゆく足音を遠くに、
男性は、まどろみ。 木漏れ日に目を開けた。)

(薄っすらと開いた瞳は、心地良さそうに、
通り過ぎる、喧騒を見送った。)

「ふわぁ〜〜ぁ・・。 よく寝た〜・・。」



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