HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-57


【・・うふふっ・・】

(紫苑の中に、もう一人の紫苑の声が響いた。)

【あの子を、呼び寄せるの・・。】

【・・一緒に、お祝いしましょう・・。】

【今日は、夏樹くんの誕生日だもの・・。】

【特別なプレゼントを。 用意するわ・・。】

(もう一人の紫苑は、本物の紫苑の心の、
すぐ傍にいた。)

(その気配は、紫苑のすぐ後ろに迫り。
耳元に、囁きかけた。)

(いつでも、本物に取って代わると言いたげに、
可愛らしい唇は、微笑んだ。)

***

キイッ カタンッ

(青葉は、ひよこの力を借り。
監視の目をくぐって。 自室のクローゼットの扉を開いた。)

「ああっ。」

(お気に入りの白いワンピースが、青葉を待っていた。)

「ふふっ。」

(青葉は両手で手に取り、美しいリボンが揺れた。
合わせて。 繊細に光る、アクセサリーを身に着けた。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ