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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-66


(携帯が点滅し。 少女はカラフルなネイルの指先で。
届いた返信を確認した。)

「どうした、音々。」

「お前が、こういう夢のある場所にいるとはな。」

(人混みの中、立ち止まった音々に気づき、声をかけたのは。
長身の少年だった。)

「おい。」

プツッ・・

(声に気づかない音々のイヤホンを。 片方、少年は強く引き、外した。)

「・・っ。」

「触るな。」

(音々の、鋭い、黒い瞳が。 少年を睨んだ。)

(カラフルな色彩に包まれる服を、雑に着こなす少女は、反して。
黒い大きな瞳と。 短い黒髪で。 鋭い覇気が、
どこか、子供らしからぬ、目立った印象があった。)

「こわ。」

(少年はうすら笑い、怒らせたことに満足したようだった。)

「そういう、あんたは?」

(音々の黒い瞳が見上げた。)

「彼女とデート。」



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