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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-78


クロエだった。)

ゴウンッ・・ トッ・・!

(美しくしなやかなクロエの身体は、麗の元に、降りる瞬間。
上空に張り巡らされた、ソラの創り出す結界を超え、
小さな、小学生の姿に変わった。)

(妖艶な、クロエの姿は、地上では実体を持たず、
普通の人間の、目に見えることは無い。)

「ふぅ。 ずいぶんと、賑やかね。」

(本来の姿に宿る魔力は、小さな仮の体に凝縮し。
黒いツインテールの髪に、黒い瞳に。 爛々と光る、強い輝きとなる。)

「楽しみ♪」

(同じく、空を切る、長身の男性は。
地上に降りると、禍々しい強い気配を覆い隠す。)

(小さな、すらりとした小学生の姿に変わった。)

ゴォッ・・ トッ!

「・・くっくっ。」

「・・忌々しい・・身体だ・・。」

「・・“闇の力”さえ、解放されれば・・。」

(魔力の強いフェルゼンの身体もまた、異世界、地上では実体を持たず。
仮の姿に苛立つ指先で。 左の首筋に、わずかに見える、
黒い。 幾何学模様に、触れた。)

(本来の身体にある、長い青い爪先が。 自らの首筋を、傷つけるようにしても。)



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