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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-79


(仮の姿になった、小さな少年に、その爪は無く。
透き通る肌に、黒い模様を撫でただけだった。)

「(チッ・・)」

「・・力がほしい・・。 “闇”の力だ・・。」

「“鍵”の中に眠っている・・。」

「あいつの・・、力。」

「それさえ・・手に入れれば・・なぁ。」

(少年の、光の無い、黒い瞳が。 黒髪の奥で揺れた。)

「・・もうすぐだ。」

(少年の冷やかな肌、感情を持たない、瞳の奥が。
激しい怒りを宿し。 赤く燃えた。)

「・・ほしい。」

「あいつに、力を注ぐために。」

「必ず・・、見つける・・。」

「隠しても・・、無駄だ・・なぁ。」

ドクン・・!

(少年は、獲物を見つめるように。 彼方へ。
自らが仕掛けた魔法陣の向こうを覗いた。)

【・・連れて来い・・。】

【・・連れて来い・・。】



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