HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter102 『8月1日(継承)』 102-86
「地上の人間どもは、ルナ国のゴミどもに似ている。」
「生きるために、奪うことは当然だ。」
(善の歪む視界が、記憶の景色と溶け込んだ。)
「奴らは、そう言う。」
「俺は、奴らの糧として生まれた。」
(仮の姿となり、小さな善の姿になったフェルゼンは、
遠い記憶を思い出していた。)
(ゆっくりと歩く、目に映る、カラフルな遊園地の建物は。
記憶の中に甦る、無機質な。 灰色のビル群へ、姿を変える。)
(組み替えられる、景色の中で。
色を失う世界は。 フェルゼンの子供時代へ。)
(雲に覆われ、光の射さない国土の中で。
命を吸い取られるとき、感じる。 冷たく、体温を失う感覚を、
思い起こさせた。)
「・・・っ。」
【ルナ国には。 二つの人種が存在していた・・。】
【正当な、神の血を引くとされる。】
【“獣”の姿をもつ、“獣人”】
【そして、奴らに食される。】
【“糧”となるべき、“人型”である“人間”だ。】
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』