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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-87


【俺は、王族でありながら。】

【ただ一人。 “人型”で生まれた“人間”だ・・。】

【・・奴らは・・俺を。 “神に選ばれた者”と称し。】

【尊び・・。 幼い俺から、命を吸い取り、生き永らえた。】

【・・俺は、信じていた・・。 なぁ・・、選ばれた“人間”なんだと・・。】

【命を吸われる感覚は・・、恐ろしかった・・、なぁ。】

【血を抜かれるように・・、身体が・・、冷たくなる・・。】

【しびれ・・、麻痺する・・。】

【・・死に近づく・・。】

【だが・・、国のためだ・・。】

(記憶を呼び覚ます、善は。 身震いし、揺れる黒い瞳に。
浅くなる呼吸を保つように。 首筋の、幾何学模様に、指先で触れた。)

「はぁ・・っ。」

「リザ・・、お前に会いたい・・。」

「あの時・・、エアリエル国で見た。」

「景色が忘れられない・・。」

「あそこには・・、お前の愛があった・・。」

「だが、あの国は・・、ルイは、お前を裏切った・・っ!」

(善の黒い瞳は、赤く燃え。 目の前の景色を映してはいなかった。)



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