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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-89


【俺は、使者となり。 異界の扉をくぐった。】

【高度に発達した、我が国ルナ国では。】

【自然の力を、国土の力を。 そして、“人型”である、人間の命を。】

【すべての命をエネルギーに変え。 “獣人”たちは、生きて来た。】

(善は、激しい頭痛に、目を閉じ。 歯を食いしばった。)

「う・・っ、うっ・・。」

「だが、使者とは、名ばかり。

“神に選ばれた者”だと・・っ、笑わせる・・。

獣の血を引かず、人型に生まれたものは、

蔑まれ。 国土の糧となる。」

「この命は、国土のため、奴らを生かすため。

それが使命だと、教えられ育った。」

(突然、善は、瞳を開いた。)

(記憶の中の景色が、目の前に甦る。)

ドクンッ

(無機質なビル群。 白い煙と、雲に覆われる、灰色の世界から。)

(突然、目の前に開けた。 一面のピンク色。)

(エアリエル国の聖なる森に。 咲き誇る、聖なる花が。
鮮やかに、フェルゼンを迎え。 澄んだ空気と香りが、包み込んだ。)



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