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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-9


(夏樹は、人々の笑い声の中、
目の前の紫苑の笑顔に。 満たされ。)

(湧き上がる想いを、胸の奥に。 抱き締めた。)

『君だけで良い。』

(紫苑は、夏樹が、何か言った気がして。 少し、
背伸びし、群衆の声に掻き消された。 夏樹の心の声を聴こうと。
不思議そうな顔で、一歩夏樹の傍に寄った。)

「え?」

(その様子は、あまりに可愛らしく、
夏樹の心は波打った。)

***

『あなたの強さが、欲しいの。』

『欲しい・・!』

(彩は、歯を食いしばり、
分厚く、硬い。 黒い扉に、真っ赤な爪を立てた。)

***

『僕は、何もいらない。』

(夏樹は、微笑み、首を振った。)

「ううん。 何でもない。」

「遊園地から行く?」

「何に乗ろうか?」



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