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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-93


(光を映さない、リザの瞳は、見開かれ。 虚空を見つめている。)

(フェルゼンは、眠るリザの姿を思い描き。 伸ばした手の先に、
獲物の姿を捉えた。)

***

「ふぅ・・っ、ふぅ・・。」

(青葉は、静かに。 痛みと、不吉な声が、通り過ぎるのを待った。)

「夏樹くん・・っ。」

(青葉は、ぴよの柔らかな羽毛に触れ。
ぴよの不思議な力が、青葉を守り。 フェルゼンの爪は、青葉に届くことは無かった。)

***

【チッ・・】

(フェルゼンは、舌打ちした。)

(と同時に、再び脳内に、幻の声が、木霊した。)

【お前は、羨ましかったんだ。

人型でありながら、

自ら生きることが出来。

愛される奴らが。】

(今度は、はっきりと、その男は、フェルゼンの前に現れた。
幻だと、わかっていながら。 生々しいその男の存在に。
フェルゼンは、息を飲んだ。)



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