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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-94


ドッ!

(鋭い爪が、地面を蹴り。 跳躍し、あっという間に、光る爪が、
フェルゼンの乱れる青い髪を掴み取り、
荒い息遣いと、白いたてがみが、フェルゼンの顔を、獣の香りで包んだ。)

【グルル・・】

「う・・っ!」

【お前は、俺のようになりたかった。

獣の姿を求めても、

決して成れはしないのに。】

【バフッ・・】

(男は、フェルゼンの頭を、鋭い牙で、噛み砕くように。
巨大な口を開き。 大きな舌から、滴る唾液を飛ばし。)

(フェルゼンと同じ、赤い瞳で。 責め立てた。)

「・・うっ・・!」

【お前は、お前でしかない。】

【愛する者に。
命を注ぐことで、

愛を求めようとした。】

【彼女は、死を求めているのに。】

(抑えられたフェルゼンの、赤い瞳が。 血のように、光り、滲んだ。)



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