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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-95


「うるさい・・っ!」

【死んでいったルイのもとへ、

逝くことを求めているのに。】

(フェルゼンは、怒り。 青く光る爪を、男の顔に向けた。)

(だが、圧倒的に勝る力が、フェルゼンの腕を掴み。
爪先が、わずかに。 男の白く巨大な獣耳に、触れただけだった。)

(柔らかな、白い体毛がフェルゼンを包んだが、
その目は、軽蔑するように、フェルゼンを睨んだ。)

【可哀そうな、弟よ。】

【祖国を裏切り、
滅ぼし。

満足か。】

(フェルゼンの、赤い瞳が、見開いた。)

「だまれ・・、ハクロウ・・!」

【私と母を殺し、満足か。】

(ハクロウと呼ばれた男は、続けた。)

【愚かな。】

(フェルゼンは、ルイの名を聞き。 怒りに震えた。)

【お前は、最も、
愛を求める者を失ったのだ。】



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