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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter102 『8月1日(継承)』 102-97


【愛する者を失ったリザの心を、殺した。】

(フェルゼンの赤い瞳は、雫に滲んだ。)

【あいつの・・涙が・・消えない・・なぁ。】

【あいつの・・涙が・・。】

(フェルゼンは、自らの首筋を、幾何学模様を描く、魔法陣を。
引き裂くように、青い爪先でなぞった。)

【う・・っ、うっ・・、くっ・・、くっくっ。】

(フェルゼンの滲む、赤い瞳には。)

(ピンク色の花弁に包まれ、優しく微笑むリザの顔と。
重なる様に。 心を失った、今のリザの姿が、見えた。)

【次は、お前だ。

ルイ・・。】

***

(ルイを想う時。 フェルゼンの心は、なぜか、
現実へ。 強く引き戻された。)

(ルイへの怒りが、フェルゼンを、現実へ、前へ進ませた。)

「ルイは・・。」

「まだ、死んではいない。」

「僕の前に・・、また現れた・・っ!」

(善は、そう言い。 黒い瞳を光らせ。 再び現実に意識を向け。 善を演じた。)



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