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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter103 『四神』 103-10


「・・・っ。」

(滲んでいたのは、涙が浮かんでいるせいだ。)

(眩い朝日に、目を開いていたくなかった。)

・・「大丈夫よ・・。」・・

(誰かが言いながら、紫苑の背中をさすった。)

(温かな手の振動に合わせ、紫苑の目から、大粒の涙がこぼれた。)

「・・っ。」

(聞こえるはずがない。)

(紫苑の目から、大粒の涙がこぼれ続けた。)

『夏樹くんがいない。』

「青葉ちゃん・・。」

「ごめんなさい・・。 ごめんなさい・・。」

(光が見えるはずがない。)

(紫苑はそれ以上、言葉に出来ず。 うつむき、口元を覆った。)

(手にした、“時の欠片”に語り掛けるように。)

***

【今すぐ、君を。】

【救えなくて、ごめん。】



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