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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter103 『四神』 103-13


(道の先、山頂に近づくと。 地上から遥か彼方。
流れる雲が、黒壁の道を、遮った。)

ズズンッ

(高い場所にあるその地を覆う、雲のせいか。)

(山頂を照らす太陽の光が。 道に届いた時。
何者かが、道の上に現れた。)

トッ トッ・・

(どこから現れたのか。 黒壁の上を、白い雲が覆い。
行き過ぎたと思った時に。 男は、黒石の道の上を。
黒い靴で歩き出した。)

(男は、変わった形の黒い帽子を被っていた。
身に纏うのは、緑色の。 裾の長い、着物で。)

(それは、風見市から遠く離れた、外国である第一国の。
民族衣装であった。)

(美しい刺繍の入った、広い袂が。 風に揺れ。
腰ひもがなびいた。)

(男は、長身で。 動きに隙が無い。)

(薄い衣が美しく、照らす日に、輝いたが。)

(その目は鋭く、黒壁の頂上、
山頂にそびえる。 巨大な、美しい瓦屋根に覆われた、
宮殿を、睨んだ。)

トッ・・!



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