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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter103 『四神』 103-16
(引き込まれる気配は、重く。 悠久の時を刻むその場所を、
包んでいる。)
(第一国の能力者を束ねる、王となるべき主を。 その役目を受け継いだ者の力は、強く。
周囲を圧倒した。)
(この宮殿は、“人間”の王の住む場所ではない。)
(第一国の、能力者の王の、住む場所だった。)
ザワザワッ
(風が、池の水面を揺らす。)
(池へとせり出す部屋の。 お気に入りの場所に腰かけ。)
(池の向こうから訪れる、客人を。 見つめる視線があった。)
(集う女官の美しさもさることながら、
その者の、輝くばかりの美しさは、目も眩むほどだった。)
「無憂か・・。」
「せっかちじゃなぁ。」
「そう慌てずとも。 簡単に、あの国は滅びたりせぬ。」
(黒い手すりにもたれかけ。 近づく緑の着物のシルエットを、
見た。)
(池を見つめ、腰かける人物の、醸し出す、強い力の波動と反し。
妖艶なその瞳も。 施された鮮やかな化粧も。 輝く髪飾りも眩く。)
(強い力を持つとは思えぬほど、可憐で儚い人物に見えた。)
「第四国の能力者を収める、“王”が。 集えと言う。」
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