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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter103 『四神』 103-17


「誰より平和を願うゆえ。 放っておけぬのであろう。」

(気だるげに、手すりから顔を上げた、第一国の能力者の王は。
手にした美しい扇子を開いた。)

「無憂。」

「早いな。」

(辺りには、強い力と共に、独特な香りが、漂っていた。)

(一度感じれば、二度と忘れることの出来ない香りが。
開かれた、白檀の扇子から漂う。)

「はい。 均衡が崩れたとあれば。」

「我が国にも、影響を及ぼしましょう。」

(ムユウは深くお辞儀し。 手を合わせ。 緑の着物を揺らした。)

(主と慕う人物は、妖艶な笑みを浮かべた。)

「こうなることは、分かっておった。」

「あの男は、四つの国の中でも、《神》と呼ばれる、

強い力を持っていた。」

「《空間》を操る術を持つ者は、この世に他に居ない。」

「おかげで、我等、四神は集い。

この世界で、能力者から、人間を守ることも出来た。」

(主の眼差しは、儚げに、池の向こうを見た。)



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