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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter103 『四神』 103-26
「かの国でも、かつては。」
「能力者と人は、互いに敬うべき存在であった。 人は能力者を崇め。
神の使いとしていた。」
「能力者は、国土と“人間の王”を守ることにより、
豊かに暮らす、恩恵を受ける。」
「だが、かの国では、“神の力”を利用しようとする者が居た。」
(ジンは、手にしていた書物から、褐色の指先を離し。
立ち上がった。)
「制裁を加えたつもりであろうが。」
「憎しみの心に、自らも捕らえられたか。」
「聖よ。」
(ジンが歩く度。 目の覚める様な青いターバンと、マントに
彩られた身に纏う装飾が、音を立てた。)
「インディゴ。 行くぞ。」
(少女は、頬を染め、頷いた。)
「はい! 我が君。」
(インディゴは、世界が崩壊するかもしれない恐怖よりも。
ジンと共に行けることが嬉しくて、高揚していた。)
(大理石で組み上げられた、白亜の宮殿が、輝く。)
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