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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter103 『四神』 103-34


「申し訳ございません。」

「客人を迎える前に、お目汚しをしまして。」

(ハロルドは、嬉しそうなダニエルを横目に、主に詫びた。)

「構いませんわ。」

(女性は、美しくカールした、豊かな白色の髪を揺らした。)

(手にしたランプを持つ、美しい指先。
人形の様に、白い肌は。 灯りに浮き立ち。 華やかなレースを纏う、
ドレスに身を包む姿は、古の時代の、姫君の様で、
昔の時のまま。 止まるような、古城の主に相応しく見えた。)

「ハロルド、固いな。」

「パーティーの始まりだ。」

「少し派手でも、良いだろう?」

(そう言うと、ダニエルは、栗色の前髪を揺らし、
眩しく微笑みながら、黒手袋を外し。
白い手で、ハロルドの頬に触れると、肩を抱いた。)

(途端にハロルドは、頬に触れたダニエルの手を掴むと、
整った鼻を、もう片方の手で、つまみ上げた。)

「いい加減にしろ。」

「お前が餌になりたいか?」

(ダニエルは、痛みに目を閉じながらも、嬉しそうに笑った。)

「ひたひっ(痛い)、へへへっ。」



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