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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter103 『四神』 103-38


(沙羅は微笑み、赤い唇で面白そうに告げた。)

「じじいは息災か。」

「懲りずにしぶといと見える。」

(隣に控える、無憂が、咳払いした。)

「沙羅様。 聞こえます。」

(沙羅は煩そうに、扇子で無憂を扇いだ。)

ゴオッ

バシャッ!

(雨粒を弾き、中庭の、灰色の通路に。
後から舞い降りた、もう二人の人物がいた。)

「遅れました。」

「皆様、お元気のご様子で。 揃ったようだな。」

(ジンは辺りを見渡し、集う面々を見て、
褐色の肌に、光る白い歯を見せ笑った。)

「思ったより早かった。」

「あの“結界”は、もう少し

持つと思ったが。」

(ジンは、城の入口へ歩きながら。 青いターバンが雨粒に濡れるのも気に掛けず。
沙羅に微笑んだ。)



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