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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter103 『四神』 103-40


(沙羅は、天女の様に美しい衣を手繰り寄せ。
雨粒を避け、前に進み。
小さな少女に屈んで耳打ちした。)

「ああ。 あの国の、災いの種だそうだ。」

「“鍵”を廻り、第二国では争いが起ころう。」

(長い睫毛が瞬き、沙羅は、赤い唇で囁き。
繊細に彫られた、美しい白檀の扇子で口元を覆った。)

「防ぐために、我等は来た。」

(香しい香りと、沙羅から漂う、強い力に。
インディゴは身震いした。)

「インディゴ。

見ぬうちに、美しゅうなったな。」

(インディゴはぱっと顔を染め、ふるふると首を振った。)

「お目にかかれて光栄でございます!」

(深々とお辞儀する、インディゴの服に光る、
金の装飾。 目を閉じても、消えない熱を帯びる、
インディゴの持つ力と同じく。
赤や黄色に光る、煌びやかな石飾りが、
黒髪に揺れた。)

(沙羅の隣で、無憂も、第三国の王に、お辞儀した。)

「ジン様におかれましても。 ますますご活躍のこと、

お喜び申し上げます。」



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