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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter103 『四神』 103-45


「聖の“心”は、奥底に、

眠っておる。」

「わしの術でも、呼び戻せぬ。」

(しわの指先が、赤い宝石に触れ。
空席の向こうに、次元の向こうへ。 意識を飛ばしたが、
聖の意識は応えず。)

(鋭い覇気が、術を拒絶し。
触れることの出来ない、荒々しい。 白い魂の存在を。
遠くに感じただけで。)

(“王”の呼びかけを遠ざけ、
弾き返した。)

「・・・。」

(遠く“闇”に沈む、聖の魂は。 憎悪をはらみ、
“王”が差し伸べた、指先の向こうで。)

(憎しみに満ちる、金色の瞳が、煌めいた。)

「・・救い出せるのは、

あの子供だけだ。」

(“王”は電撃を受ける様に、痺れた指先から、
視線を外し。)

(居住まいを正した。)

「人は人。 能力者は、能力者。」

「国は国で。 干渉をするべきではない。」



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