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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter103 『四神』 103-50


(従者は、長く美しい髪を靡かせ。
ベッドから腰を上げた。)

「くすくすっ。」

(起こす為に近づいた従者の、長い髪が。
湊吾の頬に触れ。 ふと過る香りに。 湊吾は機嫌を良くした。)

「どうぞ。」

コポポッ・・

(鼻に届く香りが、すっと、目覚めさせ。 思考が切り替わる。)

「どうするおつもりで?」

(主に鋭い視線を向ける従者は、起き抜けの主人の。
少し癖付いた黒髪に。 リラックスした様子で、気軽に機嫌良く。
ティーカップを傾ける様子を見て、ため息をついた。)

「行くに決まってるだろ。」

(湊吾はにやりと笑い、立ち上がった。)

(若くして、背負うには、大きすぎる責任を負いながら。
意に介さず、何事もこなして来た。)

(主の、ひょうひょうとした振る舞いに、冷や冷やさせられてきたが。)

(今度ばかりは、危ない橋に思えた。)

「・・ですが。」

(ティーカップを置いた。 湊吾は、従者を見上げた。)

「俺達に、選択は無い。 成功だけを、考えろ。」



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