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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter103 『四神』 103-51


(夜の灯りの中で。 灰色に輝く湊吾の瞳の奥に。
緑色の輝きを見て。 従者は息を飲んだ。)

『この目を見て。 皆、あなたに付いて来た。』

『だが、もしも・・。』

(湊吾の瞳の輝きに。 従者は、自らの従う道を見た。)

『もしも、主人の身に、何かあっては・・。』

(迷う間もなく、目の前で、湊吾は着ていたしわのシャツを脱いだ。)

「反町。」

(従者に振り返り、緑の輝きが笑う。)

「・・ふぅ。」

(反町と呼ばれた従者は、美しい紫色の髪を揺らし、
手にした、真新しいシャツを主人の肩に掛けた。)

(従者に心を許し、無防備に伸ばされた腕に、肩。)

(その身体は、ビジネスに携わる人間にしては、鍛え上げられていた。)

(反町は、紫色の長髪を靡かせ。 主人にシャツを羽織らせた。)

「十分に、お気を付けを。」

(細身に見える、従者もまた。 引き締まる肉体に、研ぎ澄まされた覇気を纏う。)

(二人は手練れのものだった。)

(関わる仕事は、表舞台のものだったが。 取引する相手は、普通の者ではない。)



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