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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter103 『四神』 103-68


(反町は冷やかに、湊吾の横顔を見た。)

「あっはっはっ。」

(先方が従える、屈強な男たちに、睨まれる中。)

(湊吾は、腹を抱え。 本気で笑っていた。)

『だから、言ったでしょうに。

どこが、黒髪の、絶世の美女なんですか?』

『私には、髪があるようには、見えません。』

(テーブルに着いた時。 目配せした、反町に。
湊吾は心の中で答えた。)

『ハゲとか、通訳するなよ。』

(二人は、口に出したりはしなかった。
ただ、阿吽の呼吸で。 互いに瞬時、僅かに目を見ただけだった。)

『・・していませんが。 お望みですか?』

『明日から、隣国と戦争してもいいなら。』

『冗談言える状況だとお思いで?』

『こんな時に、ふざけないで下さい。 坊ちゃま。』

(湊吾の見せる、若者らしい素直な反応に。
釘を刺そうと。 反町が念を送ったが。)

(正直すぎる主は、隠すこともせずに。
笑っていた。)



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