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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter103 『四神』 103-73


寛容であった。」

(瞳を上げ。 鋭く湊吾を見る。)

「人間に、手を出すことを、望まぬ。」

「国境と、人との境界を超えることは、

いささか野蛮な行い。」

(その目は、纏う気配は。
手を出せば簡単に、亡き者に出来ると言っていた。)

(自らと違う領域に、足を踏み入れることを。
考慮して。 敬意を払っているに過ぎない。)

(戦えば、勝つと決まっている争いを。
させないでほしいと頼んでいるのだ。)

「かの街には、厳重な警戒が敷かれております。

我々を追尾するものが、居りましょう。」

「力でねじ伏せるは容易いが。」

「人間に手出しすることは、我らが“掟”に反する行為。」

「国同士にもわだかまりを残すでしょう。」

「このように、あなた方に委ねるものは、

戦争を引き起こしかねない。

人と、人ならざる者との間においても。」

(語る無憂の黒い瞳に、底知れぬ力を感じ。 湊吾の背筋は粟だった。)



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