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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter104 『風の声』 104-105
本部や、FOT分室でない場所でも。
異空間から、機材を繋ぎ出し。
自身の居る場所であれば、どこでも、
全ての機器を、出現させることが出来るようになっていた。)
「聞こえる。 晃くん。」
(静乃は中空から引き出したケーブルを、機器に繋ぎ。
片手でヘッドホンを強く押し当て、
僅かな変化、呼吸の音さえも聞き漏らすまいと、
意識を集中させた。)
[「聞こえる。」]
(深い晃の声が、響いた。)
***
「こいつはやっかいだ。」
「能力者の侵入を拒む。 “障壁”が幾重にも
続いている。」
(国が研究を重ね、生み出した。 特殊な物質で創られた“障壁”は、
能力者の力を吸収し、周囲から空気を奪うかのように、
分厚く高々とそびえ。 立って居る晃の身体を痺れさせた。)
ゴウン
(分厚く高い“障壁”は、地下深く、奥へと続く。
回廊へ立ち並び。 夏樹が捕らえられている地下牢の入口。
黒い壁へ。 近づくことは出来ない。)
(“障壁”が、空気と晃の力を吸い取る様で。
詰まる息と、揺らぐ足元に。 晃は、踏み止まろうと、力を入れた。)
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