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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-106


「ふぅ・・。」

「こんな中では、僅かな時間も。

能力者は持たない。」

「夏樹・・っ。」

(晃の艶やかな黒い服の首元に、玉の汗が流れる。
痺れる手は、感覚を失いはじめ。 呼吸することは、困難だ。)

「静乃。」

「合図と同時に、飛び込む。」

「おそらく、“障壁”の中では、能力者は呼吸できない。」

(晃は、次第に詰る息に、流れ出る汗を
片手で拭った。)

[「了解。」]

(静乃は意識を研ぎ澄ませた。)

(夏樹を救いたい、想いは強い。
しかし、そのために、FOTメンバーを誰一人失うわけにはいかない。)

***

「・・ふぅっ。」

(静乃は、自身が繋いだ道筋に、誤りが無いか。
モニターに向かい、鋭く視線を走らせた。)

[「・・夏樹は、仮死状態にある。」]



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