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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-11


「そこから、下ろしてやろう。」

(自身の終わりが、刻々と迫っていることを、
悟ることも出来ずに。)

(演壇には、魂を失い。 呪いに塗れた。
石垣が立っていた。)

***

カチャッ

キキッ・・

(ソラは荷物を抱え、紫苑を支え。
snow dropの玄関ドアを開いた。)

(一日留守にしただけだったはずなのに。
人気のない家の中は。 不思議と静まり。)

(自分の家ではないような感覚を、紫苑に与えた。)

(昨夜降り続いた雨は、snow dropの白い玄関アーチに、
雨粒を残し。)

(母が手入れした、芝生の庭に。 花壇の花に。
瑞々しい輝きを与えていた。)

(眩い花々の香り、芝生の青い香り。)

(すべてに癒されながらも、
抜け殻になってしまった心に。)

(夜の静けさを、まだ閉じ込めている、
家の中が。 ほっとする様で、寂しかった。)



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