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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-123


「はっ・・!」

「・・誰?」

「・・青葉ちゃん・・?」

(遠くに、人影が見える。)

(紫苑は、目を凝らし、力を込め、両手を握った。)

『教えてくれている。』

『夏樹くんの場所を。』

(紫苑は、胸元に仕舞った。 青葉の残した“時の欠片”が。
熱く、輝くのを感じた。)

「そっちね。」

(紫苑は顔を上げ。 暗い波の上を走り始めた。)

・・ピチャンッ・・

「はぁっ。 はぁっ。」

(紫苑を案内しているのは、小さな少年だった。)

(不思議な少年が歩く足元は。 水面を波立たせ。
輝く宝石を散りばめた、美しい靴から。 星屑の様に、煌めく砂が。
零れ落ちる。)

(きらきらと煌めく、
星屑の輝きが。 少年の頬に、目元に描かれ。 透き通る瞳に、睫毛。
輝く髪は、金色で。 魔法使いの様な、美しいマントを着ていた。)



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