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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-126


「(ごほっ。)はぁっ、はぁっ。」

(だが、沈み込む波に。 身体が引きずり込まれる。)

「くそっ・・!」

(晃は、自身が沈み込みながら。 夏樹の身体を、上へ、
引き上げようと、必死でもがいた。)

(傷付いた晃の腕の中で。 夏樹の身体は、死んだように冷たい。)

(息をしているのかどうかも分からず。 恐ろしい感覚が、
晃を捉えた。)

「(がはっ・・)」

(だが、晃は力を振り絞った。)

***

「夏樹ー・・!」

(遠くで、夏樹を呼ぶ、ソラの声が響いた。)

(夏樹は、晃の手の中で、目を閉じていた。)

***

ゴオオオーッ

「行け・・!」

(白は、黒い波の中へ、強い水流を押し込んだ。)

(水が、晃の元へ、道を通し。)



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