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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-128


『風見市に・・抜ける・・。』

(異空間扉から、こぼれ出た、黒い波。 波動が。
ソラたちの魔法の力を通している、風見市への扉を目指していた。)

「くっ・・!」

(白は、扉の向こうに、艶がいることを感じた。)

『・・艶ちゃん・・!』

(艶は、異空間扉の向こう。 風見市へ向かう客人が、
無事に。 風見市への境界を通過することを見守っていた。)

「ん・・っ。」

(艶は、異変に気付き。 海の上の境界から目を逸らし。
上空に流れる。 異空間通路のひとつを見上げた。)

「白!」

ゴバッ・・!

(扉の一つが突然開き。 目の前に黒い水流が押し寄せる。)

「あああ・・!」

(白は、途絶えそうになる力を絞り出し。
自分の背後で、黒い波を、堰き止めようと、透き通る、
美しい水を生み出し続けた。)

バシャシャッ!

(滝の様に流れ出る、黒い水が、飛沫を上げ。 小さな艶の頭上に
降り注いだ。 だが、異空間から現れた白が。
艶に向き合い。 自らの背中で、黒い波を受け止めた。)



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