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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-136


(紫苑の頬には、涙がこぼれていた。)

「・・夏樹くん・・。」

(紫苑は、恐ろしさに、夏樹にしがみ付いた。)

ゴオオッ

「大丈夫だ。」

(晃は、二人を抱き。)

(波と、強い引力が引き付ける。 異空間を移動する轟音に。
紫苑の耳元に、囁き。 励ました。)

「・・っ!」

(間近で見る夏樹は、一目で。 重篤な状態だと分かる。)

ゴオオッ!

(異空間を渡る風と、“障壁”と夏樹の波動が生み出した、黒い波。
音に掻き消されている、せいではない。)

(紫苑は、夏樹の呼吸を感じなかった。)

(囚われた、魔法の糸に傷付けられ。
夏樹の身体は、見る影も無く。 血に塗れていた。)

『助けて・・!』

『お願い!』

(紫苑は願い。 ひよこが残した、最後の力が。
三人を、FOTの屋敷へ、連れ戻した。)



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