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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-14


(ベランダから、海風が届き。 ソラの、水色の髪を撫でる。)

(上る太陽が、海の上を銀色に照らし。
夏の暑さを届けようとしていた。)

「はぁ。」

(ソラは呼吸し。 美味しい空気を吸い込むと。
水色の瞳を輝かせた。)

(桜ヶ丘に建つ、二階建ての白いアパートは、
朝の光に包まれ、輝いた。)

(ベランダから身を乗り出すと、
左棟に続く、隣の部屋に視線をやった。)

(そこは、夏樹の部屋だった。
今頃、楽しみにしていた夏祭りから帰り。 くつろいでいるはずだった。)

(海風はソラの頬に届いたが、そこに夏樹の気配は無く。)

(同時に、街から“闇”も消え去っていた。)

「あいつが守ってくれた。」

(ソラの視線の先、眼下に広がる、
雨上がりの街が、美しかった。)

(丘の下には、右前方に。 住宅街。
遠く中央に商店街のある繁華街、
左手には、オフィス街のビル群が続いている。)

(住宅街の先には、もう一つの小高い丘があり、ソラ達の通う高校がある。
そして、新緑の森が。 奥に広がっている。)



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