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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-15


(視線の一番奥には、遠く。
ちょうど、地球が丸く見える様に。 夏祭りの会場だった、
風見海浜公園へ続く、砂貝海岸の、海岸線が見えた。)

「取り戻そう。」

「すぐに。」

(振り向いた、ソラの水色の瞳が。
太陽の光を受け、ビー玉の様に煌めいた。)

(眩く海に反射する太陽の光。)

(輝く砂浜の向こうに、ソラの祖国。 異世界、空の国。 “エアリエル国”への
扉も、開かれていた。)

キラキラキラッ・・

(淡い空間の輝きが。
夏の太陽の日射しが。 紫苑の部屋のレースのカーテンに映った。)

***

キラキラキラッ・・

「もう一度、あの景色を見たかった。」

(隠れ家に戻った、フェルゼンの前にあるのは。
打ち砕かれた、氷の様に冷たく光る、床と壁。)

(ぽつりぽつりと、硝子の天井から、黒い滴がこぼれ落ちる。
部屋の中央へ。 フェルゼンは、重い足を進めた。)

(異空間に設置された、隠れ家は。
フェルゼンの祖国。 異世界“月の国”の、フェルゼンの最も好きな、
夜の時間を留めていた。)



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