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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-146


(ぼやける視界の中で。 頭上に揺れる、今は灯りの点っていない。
アンティークランプ。 温かな白壁。)

「はぁ・・。」

(菖蒲は、懐かしい感覚と。
肌に触れる、柔らかなシーツに。 FOTの屋敷に、
戻ったのだと感じた。)

(身体を起こすことは、出来ない。)

(僅かに動かすことが出来る、指先で、
周囲を探った。)

『・・夏樹様・・。』

(声を出せず、微かに顔を動かしたが。
胸が痛み。 霞む目に、人影を捉えることは出来ない。)

「・・(夏樹様・・。)」

(菖蒲の口元が、夏樹の名を呼び。
僅かに動く指先が。 主人を探した。)

***

「完了した。」

(議事堂の、控室に残った、滝川と。
幾名かの議員達は。)

(目的が達せられたことを知り。
満足気に笑った。)

「直に。 来るだろう。」



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