HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter104 『風の声』 104-160
「追い付かれる!」
(湊吾の黒い車は、
海沿いを走り。 照り付けるコンクリートの上を。
土煙を上げ、回転し。 急停止した。)
「反町。」
(湊吾は、後部座席で、沙羅を守る。
反町に声をかけた。)
「はい。 湊吾様。」
(風見市を前に、湊吾の車は、
執拗な追跡を受けていた。)
(風体の悪い連中が、数台もの車で追って来た。)
(風見市へと続く、港へ。
車が到達した時。)
ギギッ
(もう一方の、向かい側から。)
(さらに多くの追手が、数十台の車が。
行く手を塞いだ。)
『ここまでだ。』
(湊吾の車は、中央に囲まれ。
逃げ道は無い。)
『滝川殿の目的は、達せられた。』
(湊吾の灰色に揺れる瞳に、緑色の光が宿った。)
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