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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-182


(湊吾は、穏やかに。 灰慈に頭を下げた。)

「こちらが、沙羅殿ですね。」

「お初にお目にかかります。」

「灰慈と申します。」

(灰慈も同じく頭を下げた。)

「ここは、“人間”の世界。」

「“風見市”への境界。」

「FOTにお会いするまで。」

「私共の処で、御身をお預かりいたします。」

(灰慈は、銀色のスーツに身を包んでいた。)

(冷静で、静かな物腰に。
先程の争いが、嘘の様だ。)

(だが、平然と立つ。
灰慈、翼、白竜。 沙羅に、湊吾、反町の周りには。)

(累々と積み上がる。 倒れた男達の、山があり。)

(キナ臭い、火薬の香りに。 土埃。
血の匂いが、鼻を突き。)

(灰慈に控える、翼の顔にも、赤い血が、べっとりとこびり付いていた。)

「死人は、いません。」

「ご安心を。」



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