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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-186


(立場も、属する世界も違うが。
その理念は、
政治家である、滝川に通じるものであった。)

「正義と悪の境界はあいまい。」

(灰慈は、周囲に集う人々を見渡し。
静かに響く声で。 告げた。)

「公安の内部も、警察も。 FOTの有用性を認め、国益を認めている者も居る。」

「上層部は、表立って動くわけには行かない。」

「これまで、影を引き受けて来たFOTを、役に立つと思う者。」

「聖に受けた恩を、忘れない者が居る。」

(人間の、許されざる組織である、灰慈も。
FOTの存在を。
大きく捉えていた。)

「聖無き今。」

「この地は。」

「無法地帯になるでしょう。

FOTの代わりに、抑止力になって頂ければ。」

「力をお借り出来れば、嬉しい。」

(灰慈は、そう言うと。 改めて、沙羅に深くお辞儀した。)

「国の繋がりとしても。」

(“国”が、石垣が拒否した協力を。 灰慈は、国の為に得ようとしていた。)



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