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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-192


(毎日花束を、求めに来た。)

「ありがとうございます。」

「まだ、少し雨が降っていますね。」

「お気をつけて。」

(店員から、二つの花束を受け取り。
千波は、頷いた。)

「ありがとう。」

チリリンッ

(花屋を後にし。 ドアの外に出ると。
街は小雨から、霧雨に包まれていた。)

「ほぅ・・。」

(千波はふと、花屋の。 屋根の下に立ち止まり。
空を見上げた。)

(空は、明るくなり。
辺りは、優しい光に包まれている。)

(千波の両手には、花束があった。)

(ふと立ち止まった瞬間。
静かで、穏やかな気持ちになる。)

(同時に、湧き上がる想いが、千波を包み。)

(ふいに涙が込み上げた。)



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