HOMENovel
Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter104 『風の声』 104-194
「千波様。」
(千波は、呼び掛けられるまで、
菖蒲が、迎えに来てくれたことに、気付かなかった。)
「・・。」
「菖蒲くん。」
(千波は、ゆっくりと顔を上げ。
瞬いた。)
「もう良いの?」
「一人でも、帰れたわ。」
(千波は、菖蒲の姿を見たことで。
いつもの千波に、戻っていた。)
「はい。」
「歩くくらいは。」
「お車を出せずに、申し訳ございません。」
「彩さんに、歩くように言われております。」
「良くなるようにと。」
(菖蒲は、白手袋の両手を開き。
肩をすくめて見せた。)
「傷は、まだ痛みますが。」
「私には、少々。 耐性があったようです。」
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』