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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter104 『風の声』 104-195
(千波は、微笑んだ。)
「良かった。」
「でも、もうお仕事モード?」
「もう少し、お休みなさい。」
(千波は、いたずらっぽく、
菖蒲の燕尾服の袖をつついた。)
「くすすっ。」
「そうですね。」
(菖蒲は、新調した四角い、黒縁眼鏡の奥で。
微笑んだ。)
『千波様。』
(屋敷へと続く、空間通路は。 迷うことなく。
FOTの屋敷は、いまだに。 強固な結界に守られていた。)
『お迎えにあがって、良かった。』
(菖蒲は、千波と並び、
屋敷を目指し。 水たまりの波紋を残す。
空間通路を歩いた。)
(花屋の前で、千波を見つけた時。
千波は、花束を抱き締め。 立ち尽くしていた。)
「少し、過ごしやすい気温ですね。」
(菖蒲は、細く、流れる前髪の間から、雲が流れる空を見上げた。)
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