HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-197


カタンッ

(千波は、夏樹の眠る部屋に入ると。
花瓶に新しい水を加え。 今朝開いたばかりの花束を、
美しく飾った。)

(夏樹は、あの日からまだ、目覚めていない。)

(それでも、彩の献身的な治療で。
夏樹も菖蒲も、一命を取り留めた。)

「これでよしっとv」

「良い香り。」

(千波は、夏樹の眠る枕元に。
爽やかな色合いの花束を生け。)

(中央に花開く、白いバラに微笑んだ。)

(千波は窓辺に近づくと。
レースのカーテンに手を掛けた。)

「窓を開けておくわね。」

(千波は、眠る夏樹に声をかけ。)

(カーテンを開いた。)

サーッ

(霧雨は、弱まっていた。 朝の風を入れたくて。
千波は僅かに、窓を開いた。)

(風が、カーテンを揺らし。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ