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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-198


(微かな滴と共に。 朝の空気が、
夏樹に届く。)

(爽やかな日射しが、ベッド脇のテーブルの上に注ぎ。)

(七色のガラスの花瓶に反射した。)

(花弁に包まれる香り。 揺れるカーテンの傍。
テーブルの上には、FOT No.3のピンバッジが、置かれていた。)

サーッ

(目覚めれば、いつでもすぐ。
FOTに戻る。)

(夏樹なら、そう願うと。)

(菖蒲は分かっていた。)

サーッ

(風が、眠る夏樹の頬を撫でた。)

「・・・。」

(血の気を失い、目を閉じる、夏樹の頬は、
冷たく。 青白い。)

(少しくせづく、深い紺色の髪が。
閉じた瞳にかかる。)

(胸や四肢に巻かれた包帯が、痛々しいが。
その表情は、穏やかに。 目を閉じていた。)

「・・・。」



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