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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-2


(大臣は、詰め寄った。)

「・・では?」

(滝川は、若く、活気に満ちている。 長く続く、石垣の。
強引な政治に、不満を持っている一人だった。)

(だがそのことを、石垣は悟ることなく、滝川を信頼し傍に置いていた。)

「FOTは実に有効だよ。」

「そのことに、気付かなかった。

石垣は無能だ。」

(にやりと笑った滝川に、大臣は驚いた。)

「・・先生は、“あちら側”ではないと・・?」

(自身の身の振りに迷いを見せる大臣に。 滝川は目を細めた。)

「・・君。 もう少し、賢いと思ったよ。」

(大臣は、頬を染めた。)

「なっ・・!」

(滝川は、再び歩き始め。 大臣から、視線を逸らした。)

「先生!」

(大臣は、すがり追い駆けて来た。 長年盤石だと思われてきた、
石垣の政権が、崩れるのであれば。 次を担うのは、この男に違いない。)

「甘い褒美をちらつかせ。 誘惑に落ちた。」



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