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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-201


(夏樹は、菖蒲が大げさに振る舞うので。
痛みと共に、可笑しさが込み上げた。)

「・・・っ。」

「・・・っ。」

(同時に、倒れる前の出来事が。
一息に、思い出され。)

(夏樹の目に、涙が浮かんだ。)

ぎゅっ

(夏樹は、一言も発することが出来ず。)

(ただ、込み上げる想いを堪え。)

(傍で涙する、菖蒲の存在を。
全身で感じていた。)

(菖蒲もまた、言葉に出来ず。)

(深い紺色の瞳が、輝き。)

(自分を、見上げたことに。)

(菖蒲は、全てのことに、感謝した。)

***

(夏樹は、千波に勧められ、
僅かながら、食事を口にすることが出来た。)

(思うように、身体を動かすことは、まだ出来ない。)



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