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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-21


(魅惑的な香りと、朝の気配が。)

(開け放たれた、部屋から庭へと続く。 大きな窓から。
淡い光と共に、降り注ぐ。)

(風が、花弁を運び。
眠る粒樹の、薄紫色にカールする髪に。)

(透き通る様に白い頬に。 舞い落ちた。)

「・・粒樹・・。」

(二人は、互いの熱を宿したまま。)

(聖は、僅かに開いた金色の瞳で。 穏やかに眠る粒樹を見つめ。
柔らかな髪を撫でた。)

(二人は、幸せに包まれていた。)

サァァァーッ

(二人が眠るベッドに掛かる、天蓋に。
風が吹き込み。 朝日に揺らめく、レースを光らせた。)

【・・・。】

(粒樹は、僅かに動き。 日の光に、風に。
瞬き、目覚めようとした。)

「・・・っ。」

(聖は、粒樹を目覚めさせまいと。
胸元に抱きかかえ、朝日を遮った。)

『目覚めれば、君は出ていく。』



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