HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-22


(二人が触れ合ったあの日。
朝の光の中、粒樹は消えた。)

(聖は、粒樹を奪われまいと、胸元に抱き締め。
夜が続くことを、願い祈った。)

「・・行かせない。」

「二度と。」

「行かせてたまるか。」

(聖は、粒樹を守れなかったことを、後悔していた。)

(失った粒樹の代わりに、夏樹を守りたかったのか。)

(選ぶことは出来なかった。)

サァァァーッ

(けれど、止めることは出来ず。 朝は訪れる。)

(止まる時の中に、聖を残し。)

(粒樹の身体は、白い光に包まれ。 流れ星の様に、
空に舞い上がり。)

(星は、輝き。 軌跡を残し、夜明けの空を、
流れてゆく。)

キラキラキラッ

(現実を変えることは出来ず、思い出の中に留まる間。
繰り返される、幸せと絶望が。
聖の心を蝕んだ。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ