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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter104 『風の声』 104-215


(そうしなければ。)

(抑えなければならない、夏樹の想いが。
あふれ出てしまいそうで。)

(夏樹は、今だけは、
一人になりたかった。)

『人は、無力なものだろうか。 祈るしかできずに。 そして、夢は裏切られた。』

(夏樹は、青葉のことを想った。)

「失うと、予感していた。

戦いが続けば、失うかもしれないと。」

「なのに・・。」

『願いは叶わず。

祈りは届かない。』

(夏樹は、巨木を前に。
祈り、目を閉じた。)

『なのに・・。

今も。

祈るしか、出来なかった。』

『祈り、信じることを、やめたくはなかった。』

(夏樹は、強く目を閉じ。
拳を握り締めた。)



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